[人間・人生を豊にするために≪ 入会のすすめ ≫]
話し手:会員(女性経営者)
聞き手:会員
はじめに
< 本日は、国内外でのビジネス経験やその幅広いご見識を基に、日本倶楽部のご活動に長年ご尽力されてきた会員の方にお話を伺ってまいりたいと存じます。
日本倶楽部は、明治三十一年に近衛篤麿や渋沢栄一ら、政界、官界、財界の名士や将官級軍人などが集まり、国利民福の増進を目的に、社交上の親和を図るため設立された、百二十年以上の歴史をもつ倶楽部です。今回女性の入会が認められて間もない頃より当倶楽部を見てこられた方のお話を伺うことを通して、未来の会員の皆様にメッセージをお届けすることができたらと思っております。また、同時に、現在の会員の皆様にも改めて、本倶楽部の価値を再認識していただくきっかけになればと思っております。宜しくお願い致します。>
日本倶楽部の良さ
< はじめに、会員になられたご縁を教えていただけますでしょうか?>
・ 日本俱楽部には十二人目の女性会員として入会いたしました。早速、講演委員、会員委員として活動を開始いたしました。
< 会員になられてからの当倶楽部の印象や特筆すべき良さなど、教えていただけましたらと存じます。>
・ 私は日本倶楽部が大好きです。私が考える日本倶楽部の良さ、好きなところは、会員の皆様の哲学・思想に裏打ちされた行動による、人間性の高さ、品性、勤勉さです。実際に社会・国家政策を構築・実践していらした経験者の皆様がお持ちになる静かで、品の良い雰囲気が、いつも倶楽部の空気の中に漂い、又、施設の中でも、通い慣れた図書室が特に好きで、広々とした窓外の皇居の景色に包まれながらの読書は、ゆったりとした至福の時で、他の会員制倶楽部には無い良さとなっていると感じております。
また、趣意書 第一に「国民福祉の精神」を掲げているところも、ただの親睦だけを目的とした倶楽部とは一線を画す点であり、本倶楽部を特徴づけている大変素晴らしい点であると考えております。自らの社会における客観的ポジションをしっかりと認識し行動なさる会員の皆様方、その品格のある空間は、本倶楽部だけが持つ味と言っても過言ではないでしょう。オルテガ・イ・ガセット(※1)が、その著書『大衆の反逆』で述べているように、世の中には、地位や名誉を手に入れただけで満足して終わる人と、社会のために自分が役に立てることはないかと、生涯、常に考えている人がいます。日本倶楽部は明らかに後者にあたる方々が集う場であり、会合等で出欠をとらなくとも、講演会場がいつも満席になることを考えますと、当倶楽部が人間的に素晴らしい方々の集まりであることが分かります。好奇心、勉学、向上への衰えない意欲を感じます。格の高い倶楽部です。
< 二十代半ばよりご家業を継がれ、三十から四十代にかけては、お仕事で一年の殆どを海外でお過ごしになるなど、歴史ある企業を守ってこられたお立場から、日本倶楽部も含め、組織とはどのようにあるべきものとお考えでしょうか?>
・ 組織は社会の道具です。組織は、目的のための手段の一つであって、目的ではありませんし、目的であってはなりません。そして、道具は、使って目的を果たすもの、です。
組織は、社会のために使うべき道具、社会をより良くし、人間を豊かに幸せにする目的実現のためにあるべきものだと思います。その視点を持つ、精神性の高い倶楽部、それが日本倶楽部だと考えております。
私の座標軸
人間・人生を豊かにするために
< 同時期に創立された他の社交倶楽部の中で、未だに女性に門戸を閉ざしている先がある中、日本倶楽部は比較的早い時期から女性の入会を認めてきました。これも、国策に携わる感度の高い人々が多く集まっているが故と感じています
そうした日本倶楽部、そして、未来の女性会員の皆様へメッセージがございましたら、お願いいたします。>
女性の皆様へ寄せて
・ クラブ・ライフで、自己を再認識・再確認し、未知のことに取り組むことで、好奇心が芽生え、今後の人生が、深く、より実りあるものとなってゆくと信じております。講演会がとても良いので、多くの知識を愉しく学び、それらが知恵となり、自分の実力となって、世の中を丁寧に観察し俯瞰する力となる。そうして得た「知恵」、「人間力」を、次の世代を担う子供たちへ繋いで行っていただけたらと思います。
日本倶楽部へ寄せて
・ 様々な価値観を持った人々の間を取り持ち、知らない方どうしがご一緒になれる交流の場、つなぐ場が当倶楽部でございます。
人間のゲノムの99.9%は同じで、残りの僅か0.1%で差異が生まれているだけでございます。0.1%で区別することなく、男女平等に、人間として、お互いの人格を尊重し、協力し、楽しい意見交換の場となる倶楽部にいたしましょう。
今までの日本倶楽部の良さの上にもう一つ、談話、雑談を加えては如何でしょう?私事を持ち込まない前提で、お互いの頭にたくさんお持ちの知識、教養、経験など、お差し支えない程度にオープンにして、会話を愉しみますと、若い頃とは違った別の頭の働き、活性化が生まれて、人と人との関係に喜びが見いだされ、とても嬉しいものです。
笑顔で一緒に楽しいクラブをつくりませんか?
結び お話を伺って
< 女性の入会が認められて間もない頃より、当倶楽部を見てこられたお立場から、― 日本倶楽部は、明治の設立来、中心となって集う人々が、時に政治の世界の方々が中心の時代があったり、現在のように官財界中心の時代であったりしつつも、大きく言えば、最終的にはどこかで民福の増進に繋がり、人間・人生を豊かにする社交の場であったわけですから、今、ダイバーシティの時代になり、未来の女性会員にも、是非、人間としてそういった思いやご見識をお持ちいただくことを期待したい。― との思いを伺いました。当倶楽部入会をきっかけに、若い頃とは別の視野を拡げられて、新しい視座を持つ機会となれば、入会される会員の方にとりましても、ご自身の人生をより良いものにするきっかけとなるでしょう。迎え入れる倶楽部にとりましては、会員の広がりと共に、WIN-WINの結果につながるのではないか、そのように感じました。
本日は、どうもありがとうございました。>
※1 ホセ・オルテガ・イガセット: スペインの哲学者。著書に『大衆の反逆』など。
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